2018-10-13 〜 2018-10-28
DEPTH – Blue Pigment –
10月13日 sat 19:00- オープニングトーク ゲスト:千葉真智子(豊田市美術館学芸員)
昨年ヨーロッパへ渡り数百枚の鳥のスケッチを描いた。帰国後に鳥のスケッチを数十枚程タブローにした。しかし私は鳥を描きたいわけではなくあの青い空を描きたかったのではないか。私は咄嗟に一年以上掛けても描き終わらず苦戦していた顔の絵に青い顔料をかけた。すると私が執着していた顔は青の顔料によって空の風景と同一化し自然に置き換えられた。この青によって私の描いた筆やナイフの筆跡は全く見えなくなったが、あの青い空、奥行きのある深い青が画面に表れた。空を眺めた時に遠くの山々が青く見える様に、青い絵は私から遠のく様に見えた。 青のもう一つの意味は打撲痕の青あざ、そして時に青あざは黄色に変色し、婀娜っぽい紫、皮膚の内側から微かに緑が透けて見えている。ペットボトルを握ると掌が葉脈の様に赤く染まる。青い大理石と金色の指輪が私の髪の毛を削ぎ取る。旅行の荷物を鞄に詰めている感触がしない。