楯鱗_1

2025-12-13 〜 2025-12-27

第一章:morphologie

吉田 ゆう



吉田ゆう「 第一章:morphologie 」
2025.12.13 sat – 12.27 sat
13:00 – 20:00(水曜、木曜は休廊)
初日は18時から
最終日は18時まで

12月21日(日)15:00- アーティストトーク
ゲスト:福永真弓(東京大学 新領域創成科学研究科 准教授)


第一章:morphologie

生物の形姿は、環境によって変容してきた。身体に備わる組織は、外界に形を沿わせながら、適応するための造形となる。生物が其々持ち合わせた形態や機能は、生息域によってその環境下に特化し、種としての分類を形成している。

一つに、生物は外部からの影響を軽減する「プロテクター」として、毛や甲羅、棘など、さまざまな形態を備えている。寒暖差の大きい環境では、体毛が体温の調節を担い、捕食や衝突の危険がある環境では、甲羅が身体を強固に守る。流体抵抗や水圧に支配される海中では、サメの表皮にある微細な棘(楯鱗)が水の抵抗を抑え、同時に抗菌性をもたらす。いずれも自らの内部で生成し、環境に応答した結果の姿である。
対して人間は、体毛や外骨格を持たないため、不足する機能を外部へと拡張してきた。体温調整のために獣の皮をまとい、安全な滞在場所として住居を建て、外側を仮に囲ってきたのである。 現代社会において、その外部形態は一層高度化している。ウェアラブル機器は常に生体情報を取得し、義肢は感覚機能の代替・拡張を達成し、建築物は環境制御機能を備えた「人工的外皮」として作用する。 もはや人間にとって外部装備は、補助的な道具ではなく、拡張された身体と言えるだろう。 他の動植物の形態を取り込むことは、私たち人間を形成する行為であり、人間という種を形作ってきた重要な文化的・技術的プロセスの一つである。

現代のバイオミメティクスは新機能化を推進する科学技術であるが、私たち人間は、昔から様々な生物の機能を模倣してきた。そこには、生きるための模索と、一つの憧れのようなものを感じる。

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