日々爆発
4月7日 sat 19:00- アーティストトーク
日常のバロック
藤原の作品には、いわゆるアニメの「爆」が描かれているのだが、彼女はオタクでは無い。 また、アニメのキャラに依存する作家でも無い。むしろ日常的に存在した「アンチーム」なものとしてのアニメを題材としている。現在の若者にとってアニメは日常にある、高度にバロック化されたエンタメとして、心の拠り所として当然のように心身に影響を受ける存在なのだ、公園であり、保健室であるのだろう。 藤原の切り取ったアニメの一瞬は、その静止性によって、運動の頂点や起こりの時間を、想起させるバロック的絵画となっている。 さらに、興味深いのは、彼女の偏愛する「赤」と「青」をマーブル状に撒いた視覚混合による紫色が多くの画面の通奏低音となっていることだ。これが無意識的な内面の基盤であり、アルパカ似の自画像を支えている。他者との関係に苦しんだ幼少期の内向時代が、脳の奥に染みつきながらも、大いなる他力「爆」を描くことで、振り払わんとする叫びの絵画なのだ!超新星爆発のように、自分も他者も過去も、吹っ飛んでいく宇宙の藻屑に過ぎ無いのだと、大声で叫んでいるかのようだ。 (吉本作次) photo by Hiroshi Tanigawa