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2009-08-22 〜 2009-09-06

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西岳 拡貴

西岳拡貴は東京芸術大学大学院に在学中で、今年の6月から8月にフランスのナントで開催された「ナントビエンナーレ・河口プロジェクト」に参加し帰国後の最初の個展です。今回の展示は2つのプロジェクトをその痕跡とプロジェクトの過程を撮影した映像作品を合わせて展示します。1つ目のプロジェクトのナントビエンナーレでは、ナントからサン・ナゼールという町まで50kmの間に、約5kmごとに100mずつラテックスを道路に塗ってはがし、その場に放置されていたものに巻き取る仕事を続けて、巻き取ったものを立体的な彫刻として展示をしました。今までの彫刻には無い、単純作業の積み重ねから生まれる新しい彫刻です。その過程では人との関わりや出来事が絡み合って、身体性や皮膚、人の温もりをテーマにする彼らしいプロジェクトを完成させました。

次に2つ目のプロジェクトについてです。中央の木のお風呂の中に入っているのは200kgのラードです。この200kgのラードを人の体温で溶かすというのが、今回 N の展示の為にそれが置いてある場所で行ったプロジェクトです。リアルな人の体温をモチーフに表現したいという作家の想いから生まれたものです。プロジェクトではまず丸裸の作家がラードのお風呂の中に入ります。一人でラードを溶かしますがなかなか溶けません。暫くしてもう一人が入り、二人で互いにラードの中で格闘し溶かそうとします。そうして次第に作家と観客の感情のギャップが同じ目的に向かって一つになります。ラードを溶かすという目的に向かって心が一つになるのです。ラードのお風呂という空間の中でコミュニケーションが生まれます。そして溶かし終わった後には爽快な達成感が二人を包みます。今後このプロジェクトは人種の違いや性別の違い、年齢の違いなどを超えて様々なコミュニケーションを生み出す可能性を秘めていると思います。訪れて頂いた方達とプロジェクトの現場であるラードのお風呂を囲みながら改めてアートの可能性について笑いながらお話し出来たことが印象深い展覧会でした。

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